令和7年(2025年)に実施される登録販売者試験では、出題範囲にいくつかの重要な変更が加えられます。これらの変更は、厚生労働省が公表する「試験問題の作成に関する手引き」(令和7年4月改訂版)に基づいています。
今回の改訂は、新たな領域が大幅に追加されたり、既存の項目が大きく削除されたりするものではなく、主に現行内容の更新や修正が中心です。しかし、法改正に伴う新しい知識も求められるため、受験者はしっかりとポイントを押さえて対策を講じる必要があります。
この記事では、令和7年の登録販売者試験における主な変更点を分かりやすく解説し、合格に向けた効果的な学習方法を提案します。
変更点➀機能性表示食品等に関する規定の追加

背景:紅麹問題と関連法令の改正
令和6年3月に発生した紅麹を含む製品による健康被害問題を受け、食品の安全性に関する関心が高まっています。これに伴い、関連する法令が改正され、その内容が「試験問題の作成に関する手引き」にも反映されました。
追加された主な内容
- 特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品に関する遵守事項の明確化
- 健康被害が発生した場合の情報提供義務
- 適正な製造管理(GMP:Good Manufacturing Practice)の義務化など
これらの変更は、食品表示基準の改正(令和6年内閣府令第71号)および食品衛生法施行規則の改正(令和6年厚生労働省令第115号)を踏まえたものです。
試験で問われる可能性
- 機能性表示食品と医薬品の法的な区分や違い
- 事業者の報告義務や製造管理に関する具体的な知識
- 健康被害情報に関する企業の対応 など
注目➁記載内容の整備(修正・整理)

最新の科学的知見やより正確な表現を期すため、既存の記述内容にも一部修正が加えられました。
- 脂質異常症の診断基準の明確化
「中性脂肪150mg/dL以上」という記述に「(空腹時)150mg/dL以上」と補足が加わりました。 - 誤解を招く表現の削除
「痔は生活習慣病である」といった断定的な表現が見直されるなど、細かな表記の修正が行われています。
なお、第1章「医薬品に共通する特性と基本的な知識」および第2章「人体の働きと医薬品」については、今回の手引き改訂の対象外であることが公表されています。
影響大!関連法令の改正と試験への影響

登録販売者試験に深く関わる医薬品医療機器等法(薬機法)が改正され、2025年5月14日に成立しました。この改正内容は、一般用医薬品の販売制度や登録販売者の業務に直接影響するため、試験でも重要視される可能性が高いです。
主な改正ポイントと試験への影響
- 一般用医薬品の新たな販売形態(オンライン指導・遠隔販売)の導入
- 薬剤師や登録販売者が常駐していない店舗(例:コンビニエンスストア)でも、オンラインシステムを利用して有資格者が服薬指導などを行えば、一般用医薬品を販売できるようになります。地域のドラッグストアがコンビニ等と連携し、遠隔で登録販売者が購入者に説明を行うケースなどが想定されます。
- 新しい販売ルールに関する知識(遠隔販売が認められる条件、実施方法など)が問われる可能性があります。
- 医薬品の新カテゴリー創設
- 「特定要指導医薬品」の新設
現行の要指導医薬品の中でも、特に慎重な対面指導が必要とされる医薬品が分類されます(例:緊急避妊薬は「特定要指導医薬品」に指定され、引き続き対面での服薬指導が必須)。 - 「指定乱用防止医薬品」の新設
乱用のおそれがある成分を含む一般用医薬品(一部の咳止め薬や鎮静薬など)が対象となります。 - 登録販売者の対応
登録販売者は従来通り要指導医薬品の販売はできませんが、これらの新しい医薬品分類の名称、定義、およびそれぞれの取り扱いに関する基本的な概要は理解しておく必要があります。
- 「特定要指導医薬品」の新設
- 乱用防止のための販売規制強化
- 対象
上記の「指定乱用防止医薬品」 - 内容
若年層による市販薬の乱用(オーバードーズ)問題に対応するため、販売方法のルールが厳格化されます。- 20歳未満の者への大容量製品や多量購入を目的とした販売の禁止
- 少量購入であっても、対面またはオンラインでの本人確認および服薬指導の必須化
- 他店も含めた購入履歴の確認、年齢・氏名の確認(必要に応じて身分証の提示)、多量購入理由の聞き取りなど
- 当該医薬品は、顧客の手の届かない場所への陳列、または専門家が常時監視できる体制下での販売が求められる見込みです。
- 試験での想定
「乱用防止のために販売時に必要な対応はどれか」といった形式で、具体的な措置に関する知識が問われる可能性があります。「オーバードーズ防止のため、20歳未満への乱用のおそれのある薬の大量販売を制限する」という法改正の趣旨を理解しておくことが重要です。
- 対象
- 一般用医薬品の分類は現行維持
- 既存の一般用医薬品の分類(第1類~第3類医薬品)については、今回の改正では変更されませんでした。第2類医薬品と第3類医薬品の統合も議論されましたが、見送られ現行通り維持されます。
- 第2類医薬品販売時の「情報提供努力義務」を実質的に強化し、登録販売者など専門家の関与のあり方を明確化する議論は今後も継続される予定です。試験では従来通り第1~3類の区分に基づく出題がなされますが、第2類医薬品販売時のルール(現状では努力義務であることなど)についても正確に理解しておきましょう。
これらの薬機法改正ポイントは、試験科目「薬事に関する法規と制度」に密接に関連します。特に、「一般用医薬品の販売方法」や「乱用防止策」に関する法改正事項は、最新トピックとして重点的に学習する必要があります。
出題形式・合格基準は従来通りで変更なし
令和7年度の登録販売者試験について、出題形式そのものに大きな変更はありません。
- 試験方式: 筆記試験(マークシート方式の多肢選択式)
- 出題数: 全120問
- 試験時間: 従来通り(東京都では午前10時開始・午後3時30分終了)
- 試験科目と問題数:
- 医薬品に共通する特性と基本的な知識:20問
- 人体の働きと医薬品:20問
- 薬事に関する法規と制度:20問
- 主な一般用医薬品とその作用:40問
- 医薬品の適正使用と安全対策:20問
- 合格基準: 全国で統一された基準が維持されます。
- 総得点の70%以上を得点し、かつ
- 各科目ごとに概ね40%以上(各20問科目は8問以上正解、40問科目は16問以上正解)を正解すること。
問題の難易度は年によって若干変動する可能性がありますが、マークシート形式である以上、過去問演習を通じて選択肢問題に慣れることが引き続き重要です。各科目の問題数配分を意識した時間配分の練習や、マークシートの記入ミス防止にも注意しましょう。
全国共通の改訂内容と都道府県による違い

試験範囲の改訂内容は全国共通です。すべての都道府県で、厚生労働省作成の同じ「試験問題の作成に関する手引き」に基づいて出題が行われます。自治体が独自に試験範囲を追加したり、科目構成を変更したりすることはありません。したがって、本記事で解説した機能性表示食品の内容追加や法令改正の反映といった改訂点は、日本全国どこで受験しても共通して押さえるべき知識となります。
ただし、試験の実施運営面では都道府県ごとに多少の違いがあります。
- 試験日程
登録販売者試験は都道府県単位(または広域連合単位)で年1回実施されますが、その試験日程は地域によって異なります。例えば令和7年度では、東京都や神奈川県など多くの東日本エリアで試験日が9月上旬(東京都・神奈川県は9月7日実施予定)に設定されています。ご自身の受験する都道府県のスケジュールを早めに確認することが重要です。 - 試験問題
問題作成の基本方針と範囲は全国共通ですが、試験問題そのものは都道府県ごと(正確にはブロックごと)に異なります。各自治体または広域連合が問題を作成するため、同じ年度でも地域により出題の細部が異なる可能性があります。例えば、ある都道府県では機能性表示食品の新ルールに焦点を当てた問題が出題され、別の都道府県では医薬品分類の新設に関する問題が出題されるなど、問題の切り口や具体例に違いが見られることがあります。
まとめると、試験範囲・内容の改訂は全国一律ですが、試験日程や申込方法などの運営面は地域差があります。 学習においては全国共通の最新手引きに基づく知識習得を最優先し、試験当日のスケジュール管理や手続きについては、必ず各都道府県の公式発表を確認するようにしましょう。

改訂点を踏まえた効率的な対策

今回の手引き改訂および法令改正により、受験者は新しい知識の習得が求められます。改訂内容を踏まえて効率的に学習を進めるために、以下のポイントに注意してください。
- 新規追加分野を重点的に学習する
- 機能性表示食品や特定保健用食品に関する新たな規制(健康被害情報の報告義務やGMPによる製造管理義務など)の項目は、社会的な背景もあり試験で出題される可能性が高いと考えられます。
- 食品と医薬品の違いを問う問題は頻出ですが、今年度は特に食品表示基準の改正点(例:「機能性表示食品の届出者はどのような情報提供義務を負うか」など)に絡めた応用問題も想定されます。
- 法改正事項を確実にフォローする
- 薬機法の改正ポイント(遠隔服薬指導の解禁、指定乱用防止医薬品の創設と販売規制など)は、最新情報としてしっかりとアンテナを張っておきましょう。
- 特に乱用防止策は社会的な関心も高いため、「20歳未満にはどのような医薬品の販売が制限されるのか」「指定乱用防止医薬品を販売する際に必要な確認事項は何か」といった具体的な内容を整理して対応できるようにしてください。
- 新設された医薬品カテゴリーの名称(特定要指導医薬品、指定乱用防止医薬品)とその定義も正確に押さえておけば、法規関連の問題で戸惑うことが少なくなるでしょう。
- 過去問演習と公式情報の活用
- 新しい知識をインプットする際は、過去問演習を通じてアウトプットの練習も並行して行い、出題形式に慣れておくことが重要です。
- 厚生労働省や各都道府県の公式サイトで公開されている過去の試験問題と正答は、直前期の総仕上げに非常に役立ちます。公的機関が提供する確かな情報を土台に学習を進めることで、改訂による不安要素を減らし、万全の準備で試験本番に臨むことができるはずです。
最新情報をチェックして合格を!
令和7年の登録販売者試験は、いくつかの重要な変更点がありますが、基本的な試験形式や合格基準に変わりはありません。改訂内容を正確に理解し、計画的に学習を進めることが合格への鍵となります。
機能性表示食品に関する新しい規制や、薬機法の改正内容は、今後の登録販売者の業務においても重要な知識となります。これらの最新情報をしっかりと自分のものにし、自信を持って試験に臨んでください。皆様の合格を心より応援しています!

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