登録販売者試験の第2章「人体の働きと医薬品」は、人間の体の仕組みや薬が作用する原理、副作用など幅広い内容を含む重要分野です。過去問分析によれば、第2章からは毎年多くの問題が出題されており、頻出するテーマを重点的に学習することで効率よく得点力を伸ばすことができます。
本記事では、全国の登録販売者試験の過去10年分のデータをもとに、第2章で出題頻度の高い重要問題トップ10をランキング形式でまとめました。それぞれの問題について問題文と選択肢を提示し、正解と詳しい解説、さらに出題傾向や試験対策ポイントも紹介します。頻出問題をしっかり押さえて、効率的な学習と得点アップにつなげましょう!
第1位:ショック(アナフィラキシー)

問題
次の記述のうち、ショック(アナフィラキシー)に関して正しいものはどれか。
- 医薬品によるショックは初めてその薬を使用したときに最も起こりやすい。
- ショックが発生しても症状の進行はゆっくりであり、数日かけて悪化する。
- ショックが起こると血圧低下や意識障害など命に関わる症状が急速に現れる。
- アナフィラキシーは軽いアレルギー反応の一種であり、放置しても自然に治る。
正解
3. ショックが起こると血圧低下や意識障害など命に関わる症状が急速に現れる。
解説
ショック(アナフィラキシー)は、ある抗原に対する急激で全身的な重篤なアレルギー反応です。医薬品などを服用・使用した後、数分~数十分という非常に短時間で血圧低下や呼吸困難、意識障害などの症状が急速に進行します。適切な処置をしなければ生命に危険が及ぶため、登録販売者試験においても極めて重要な副作用知識として頻出です。
- 再発に注意: ショックは通常、以前にその医薬品や似た成分でアレルギー症状を経験した人に生じやすく、再び使用した際に重篤化することが多いです。「初めて使った時よりも、2回目以降の使用時に起こりやすい」という点が試験でも問われます。①は誤りです。
- 症状の進行: 発症後の進行は非常に速やかで、ごく短時間で症状が全身に及び重篤化します。②の「ゆっくり悪化」は誤りです。
- 典型症状: 顔面蒼白、冷汗、めまい、脈の乱れや弱まり、呼吸困難、蕁麻疹(じんましん)やチアノーゼ(皮膚や唇が青紫色になる)などが現れ、重症では意識を失います。③のとおり、血圧低下や意識障害など命に関わる症状が急速に現れるのが特徴です。
- 緊急対応: アナフィラキシーが疑われる場合、速やかに救急措置(エピネフリン自己注射薬の使用や救急車対応)が必要です。放置すれば生命の危険が高まるため、選④の「自然に治る」は誤りです。
出題傾向と対策
ショック(アナフィラキシー)は第2章の副作用分野で毎年必ずと言っていいほど出題される最重要項目です。試験では、「症状の特徴(特に発症の速さ)」「以前にアレルギー症状があった場合に注意」などが問われます。また、「ショックを起こすおそれのある成分」(例:ヨウ素含嗽剤でまれにショックを起こす など)について言及されることもあります。対策として、ショックの初期症状や対応策を含め、アナフィラキシーの基本事項をしっかり暗記しましょう。問題文中のキーワード「急速に進行」「血圧低下」「意識がもうろう」などに着目すると見抜きやすくなります。
第2位:皮膚粘膜眼症候群(SJS)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)

問題
次のうち、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群:SJS)および中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する記述として正しいものはどれか。
- SJSおよびTENでは、高熱が見られることはまれである。
- SJSは一般にTENより症状が重篤で、死亡率も高い。
- 両疾患ともに、目や口の粘膜にただれや充血などの症状が現れる。
- これらの症状は医薬品を服用した直後(数分以内)に発症することが多い。
正解
3. 両疾患ともに、目や口の粘膜にただれや充血などの症状が現れる。
解説
皮膚粘膜眼症候群(SJS)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)は、医薬品の副作用として生じる極めて重篤な皮膚障害です。どちらも皮膚だけでなく目や口など粘膜部にもただれ(糜爛)や充血、潰瘍が生じるのが特徴で、重い場合は失明につながることもあります。両者は症状の重さや皮膚の広がりで区別されます。
- 共通点: SJSもTENも発熱(特に38℃以上の高熱)を伴うことが多く、全身に発疹や水ぶくれが生じます。また粘膜(眼や口、性器など)がただれるのが特徴です。したがって①の「高熱が見られることはまれ」は誤りで、むしろ高熱が頻繁に見られる点を押さえましょう。③のとおり、両疾患とも粘膜に症状が現れるのが正しい記述です。
- 相違点: SJS(Stevens-Johnson症候群)は皮膚の広範な紅斑や水疱があり、重症化すると表皮が剥離しますが、その剥離範囲が体表面積の10%未満にとどまるものを指します。一方、TEN(中毒性表皮壊死融解症)はSJSよりさらに重篤で、皮膚の剥離が全身の30%以上に及ぶ状態です。簡単に言えば、TENはSJSが進行・重症化した状態であり、TENの方が死亡率も高いとされています(②は誤り:逆にTENの方が重篤)。
- 発症時期: SJSやTENは医薬品を服用開始してから通常1~3週間以内に発症することが多く、すぐに(数分~数時間で)起こるものではありません。したがって④は誤りです(急速に起こるアレルギー反応はアナフィラキシーであり、SJS/TENは比較的遅れて現れるタイプの副作用です)。
出題傾向と対策
SJSとTENも第2章の副作用分野で頻出するテーマです。試験では「高熱を伴うこと」「粘膜症状を呈する」「SJSとTENの名称や重症度の違い」などが問われます。例えば、「スティーブンス・ジョンソン症候群は最初に報告した医師の名前にちなむ」「TENはライエル症候群とも呼ばれる」といった名称や由来に関する知識が選択肢に出ることもあります。また、設問ではSJSとTENの特徴を入れ替えて誤りの肢にするパターンが見られるため、両者の共通点・相違点を整理して覚えておきましょう。ポイントは以下の通りです。
- 共通: 高熱、全身の発疹・水疱、粘膜のただれ。初期症状は風邪に似た症状から始まることも。
- SJS: 皮膚剥離は体表面積の10%未満。死亡率も低め(それでも5~10%程度と言われる)。
- TEN: 皮膚剥離が広範(30%以上)。全身状態が極めて悪化し、致死率が高い(20~30%以上)。
これらを踏まえ、「高熱」「粘膜症状」「重症皮膚障害」といったキーワードがあればSJS/TENを連想できるようにしましょう。
第3位:偽アルドステロン症

問題
医薬品の副作用として現れる偽アルドステロン症に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 偽アルドステロン症とは、副腎からのアドレナリン分泌が過剰になることで起こる症状である。
- この副作用が起こると体内にナトリウム(塩分)や水分が過剰に蓄積し、カリウムが不足する。
- 偽アルドステロン症では低血圧と脱水症状が特徴である。
- 主に若年の高身長の男性に多く見られる副作用である。
正解
2. 体内にナトリウム(塩分)や水分が過剰に蓄積し、カリウムが不足する。
解説
偽アルドステロン症は、その名のとおり体内でアルドステロンというホルモンが過剰に作用したような状態になる副作用です。ただし実際には副腎ホルモンの異常分泌ではなく、医薬品中の成分(漢方生薬成分の甘草(カンゾウ)由来のグリチルリチン)によって引き起こされます。アルドステロンは腎臓での塩分・水分の再吸収とカリウム排泄を促進するホルモンですが、偽アルドステロン症でも塩分と水分の貯留、カリウムの排出促進が起こります。
- 原因: 主な原因成分は甘草(カンゾウ)です。甘草含有の漢方薬や胃腸薬、咳止め薬などを長期間大量に使用した場合に発症することがあります。①の「アドレナリン分泌過剰が原因」は誤りで、ホルモンのアルドステロン作用を薬の成分が引き起こす点を押さえましょう。
- 症状: 体内にナトリウムと水がたまる一方でカリウムが失われるため、高ナトリウム・低カリウム血症となります。その結果、血圧上昇やむくみ(浮腫)、体重増加などが起こり、低カリウムにより筋力低下、倦怠感、手足の麻痺などが生じることもあります。重症化すると筋肉のまひや不整脈(致命的不整脈のリスク)につながる可能性があります。②の記述はこのメカニズムを述べており正しい内容です。逆に③の「低血圧と脱水」は、実際には高血圧と水分貯留(浮腫)が起こるため誤りです。
- 好発要因: 偽アルドステロン症は、小柄な人や高齢者、体力の低下した人で起こりやすいとされています。また長期連用がリスクを高めます。若くて体格の大きい男性に多いわけではなく、④は誤りです。
出題傾向と対策
偽アルドステロン症も登録販売者試験で頻出の副作用項目です。漢方処方に含まれる甘草(カンゾウ)についての注意事項として問われることが多く、「長期間の連用をしないこと」という使用上の注意に関連して出題されます。試験対策ポイントは以下の通りです。
- メカニズム暗記: 「ナトリウム・水の貯留」「カリウムの排出・低下」→高血圧・むくみ・筋力低下。これが理解できていれば選択肢の正誤判断が容易になります。
- 原因成分: 甘草(グリチルリチン)を含む医薬品(漢方やドリンク剤等)で起こることを覚えておきましょう。選択肢では「◯◯という生薬の長期使用で起こる副作用は何か?」のように問われることもあります。
- 注意喚起: 製品の添付文書に「偽アルドステロン症を起こすおそれがあるので○○しないこと」といった記載があるケースを問う問題もあります。「長期連用しないこと」「むくみや倦怠感が出たら使用を中止する」などの注意事項も合わせて確認しましょう。
偽アルドステロン症は症状の内容(むくみ・高血圧・低カリウム)と原因の生薬成分がポイントです。頻出事項なので確実に得点できるようにしてください。
第4位:肝機能障害

問題
次の記述のうち、医薬品の副作用として現れる肝機能障害の症状として適切に説明されているものはどれか。
- 全身の皮膚にかゆみを伴う発疹(じんましん)が現れる。
- 皮膚や白目の部分が黄色っぽくなる症状が見られる。
- 急激な血糖値の低下により、手足の震えや発汗が起こる。
- 尿の量が極端に増加し、常に喉が渇くようになる。
正解
2. 皮膚や白目の部分が黄色っぽくなる症状が見られる。
解説
医薬品の副作用としての肝機能障害では、肝臓の細胞が損傷を受け、正常に働かなくなるために様々な症状が現れます。その代表的な徴候が黄疸(おうだん)です。肝臓で処理しきれなくなったビリルビンという色素が体内に蓄積し、皮膚や目の白目部分(強膜)が黄色く染まる状態になります。
- 黄疸: ②の記述は黄疸の説明にあたり、肝機能障害の代表的症状です。これが正解肢です。肝臓の不調により胆汁中のビリルビンの排泄がうまくいかなくなると、体内にビリルビンが過剰に残って組織に沈着するため、皮膚や目が黄染します。登録販売者試験でも「白目が黄色くなる」という表現で黄疸の症状を問うことが多いので、このキーワードは確実に覚えておきましょう。
- 肝機能障害のその他の症状: 食欲不振、倦怠感、吐き気、右上腹部の痛みなどがあります。尿が茶褐色になる(ビリルビンが尿中に排泄されるため)ことや、逆に便が白っぽくなる(胆汁が腸に出ないため)といった症状も起こり得ます。①の「発疹やじんましん」はアレルギー症状であって肝障害の直接の徴候ではありません(肝障害でも痒みは起こる可能性がありますが、試験では黄疸の方が重視されます)。
- 低血糖症状ではない: ③の震えや発汗は血糖値低下時(インスリン過剰など)の症状で、肝障害の典型ではありません。むしろ肝臓は糖の貯蔵・放出も行う臓器なので重度の肝不全で低血糖になることもありますが、試験対策上は紛らわしい選択肢として出ても選ばないよう注意です。
- 尿量の変化: ④のような多尿・口渇は糖尿病など高血糖状態の症状であり、肝機能障害とは直接関係ありません(肝障害ではむしろ尿量減少や先述のような尿の色変化が論点)。
出題傾向と対策
肝機能障害も副作用問題の定番です。黄疸(皮膚や眼球の黄染)は最重要キーワードで、過去問でも頻繁に出現しています。また、「薬の服用により〇〇の症状が出たら肝障害の疑いがあるので受診を促す」といった実務的な観点からの設問もあります。対策として以下を確認しましょう。
- 黄疸の見分け方: 鏡で白目(強膜)の色を見ると黄疸がわかりやすいこと、皮膚全体が浅黒い人でも白目が黄色くなれば肝障害を疑うといった知識もテキストに載っています。試験でも白目部分の黄染」は肝障害を示す重要サインとして問われます。
- 原因となる成分: 解熱鎮痛薬の過量投与(アセトアミノフェンの大量摂取)や一部の漢方薬(小柴胡湯などによる薬剤性肝炎)など、具体的に肝障害を起こした事例が知られています。選択肢でそれらを挙げ、関連付けて問う問題もあります。
- 対応: 添付文書に「まれに○○(例:黄疸)が現れることがある」と記載がある副作用としてリストアップされていることも多いです。黄疸を見たら服薬を中止してすぐ医療機関受診という流れも押さえておきましょう。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、自覚症状が出にくいですが、黄疸は見逃せないサインです。試験ではとにかく黄疸=肝機能障害の図式を確実に結びつけ、迷ったら黄疸の有無で判断できるようにしておきましょう。
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第5位:接触皮膚炎・光線過敏症

問題
接触皮膚炎(かぶれ)と光線過敏症に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
- 接触皮膚炎は日光に当たった部分の皮膚だけに生じる炎症である。
- 光線過敏症では症状が全身に及ぶため、衣服に覆われた部分にも発疹が現れる。
- 接触皮膚炎は原因物質に触れた部分に生じる皮膚のかぶれである。
- 光線過敏症は一度発症しても、同じ薬剤を再度使用して日光に当たっても再発しない。
正解
3. 接触皮膚炎は原因物質に触れた部分に生じる皮膚のかぶれである。
解説
接触皮膚炎と光線過敏症はいずれも皮膚に起こる副作用ですが、その発症メカニズムと現れ方に違いがあります。接触皮膚炎は、ある物質(医薬品成分や化粧品など)が皮膚に直接触れることで起こるかぶれ・炎症です。一方、光線過敏症(フォトトキシシティとも呼ばれる)は、医薬品成分が体内にある状態で日光(特に紫外線)に当たることによって皮膚に生じる過敏反応*です。
- 接触皮膚炎: ③のとおり、原因となる物質が接触した部分に限定して皮膚炎(発赤、発疹、かゆみ等)が起こるのが特徴です。例えば湿布薬や塗り薬を塗布した部分が赤くかぶれるケースなどが典型です。原因物質へのアレルギー反応(アレルギー性接触皮膚炎)や強い刺激による炎症(刺激性接触皮膚炎)で発症します。基本的には触れた部分にのみ症状が出るため、①の「日光に当たった部分だけに生じる」という説明は光線過敏症のことであり、接触皮膚炎には当てはまりません(誤り)。
- 光線過敏症: 光線過敏症では、原因となる薬剤を服用または塗布している状態で日光に当たると、その部分の皮膚に発赤、腫れ、水ぶくれ等が生じます。特徴的なのは、衣服などで覆われて日光が当たらなかった部分には症状が出ず、日光に露出した部分のみに症状が現れる点です。したがって、②の「衣服に覆われた部分にも発疹が現れる」は誤りで、逆に衣服に覆われていない部分だけというのが正しい状況です。また症状は日光を浴びた範囲に限局するため、はっきりと正常皮膚との境界が見られることも多いです。この違いを試験でも問うことがあります。
- 再発性: 接触皮膚炎も光線過敏症も、原因となる物質に再度接触(または服用)すれば再発する可能性があります。アレルギー性の接触皮膚炎は一度感作されると次回はより少量でも強く反応してしまうことが多いです。光線過敏症も原因薬剤を再使用して日光に当たればまた起こり得ます。従って④の「再発しない」は誤りです。
出題傾向と対策
接触皮膚炎と光線過敏症は比較して覚えることが重要です。登録販売者試験でも「両者の違いを正しく理解しているか」を問う問題がみられます。
- 接触皮膚炎(かぶれ): 原因物質が触れた部位にのみ生じる。場合によっては皮膚が赤くかぶれる程度から、水疱やただれになることもある。原因物質に触れなければ起こらない。アレルギー性の場合は繰り返すと悪化しやすい。
- 光線過敏症: 原因物質+紫外線で発症。日光に当たった部分だけに症状(ひどい日焼けのような発赤、腫れ、水疱)が出る。正常皮膚との境目がはっきりしているのが典型。原因物質の内服・使用中は直射日光を避けることが大切。
試験では、「日光に当たった部分のみ症状」や「正常な皮膚との境界が明瞭」なら光線過敏症、「原因物質が触れたところに限定」なら接触皮膚炎、と判断します。また、いずれの場合も原因となった薬剤の使用を中止することが基本対処ですが、光線過敏症では加えて日光を避けることも必要です。副作用の項目としてこれらのキーワードを確実に覚えておきましょう。
第6位:自律神経系(交感神経と副交感神経)

問題
自律神経系の作用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(※交感神経=「闘争・逃走の神経」、副交感神経=「休息・消化の神経」)
- 交感神経が刺激されると心拍数は減少し、消化管の動きが活発になる。
- 副交感神経が優位なときは瞳孔(ひとみ)が開き、気管支が拡張する。
- 交感神経が刺激されると瞳孔が拡大し、心臓の拍動が速くなる。
- 副交感神経が優位なときは心臓の働きが活発になり血圧が上昇する。
正解
3. 交感神経が刺激されると瞳孔が拡大し、心臓の拍動が速くなる。
解説
自律神経系は意思とは無関係に体の機能を調整する神経で、交感神経と副交感神経の2つに大別されます。両者は拮抗的に働き、体内の平衡を保っています。交感神経はストレス時や興奮時に優位になる「戦うか逃げるか」の神経で、副交感神経は安静時や食後に優位になる「休息と消化」の神経です。各器官への影響は真逆になることが多く、これを覚えることが第2章攻略の鍵です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。
- 交感神経: ③にあるように、交感神経が働くと瞳孔は拡大(散瞳)し、心拍数・心拍出量は増加します。これは興奮時により多くの視覚情報を取り入れ、筋肉へ血液を送るためです。同時に、血圧も上昇し、気管支は拡張して呼吸を促進、消化管の動きは抑制されます(食べ物の消化よりも逃走・闘争を優先するため)。したがって①は真逆の内容で誤りです(交感神経刺激で心拍数は増加、消化は抑制)。③は交感神経の典型的作用を述べており正しい記述です。
- 副交感神経: 副交感神経が優位なときは瞳孔は収縮し、心拍数は低下、血圧も低下します。気管支は収縮し、呼吸は落ち着きます。その代わりに消化管の働き(ぜん動運動や消化液分泌)は活発化します。②は副交感神経について述べていますが、瞳孔開大や気管支拡張は交感神経の作用なので誤りです。④も、副交感神経優位なときは心臓の働きはむしろ穏やかになる(活動低下)ので誤りです。
以下に、主な器官に対する交感神経と副交感神経の作用の違いをまとめます。
器官・機能 | 交感神経(緊張・興奮時) | 副交感神経(安静・リラックス時) |
---|---|---|
瞳孔 | 拡大(暗所でよく見えるように) | 縮小(明るい場所で眼を保護) |
心臓(心拍数・収縮力) | 増加・強まる(心拍促進) | 減少・弱まる(心拍抑制) |
血圧・血管 | 上昇(血管収縮して血圧↑) | 低下(血管拡張して血圧↓) |
気管支 | 拡張(呼吸促進) | 収縮(呼吸鎮静) |
消化管運動・分泌 | 抑制(消化活動低下) | 促進(消化活動活発) |
膀胱(排尿) | 抑制(膀胱筋弛緩し尿ためる) | 促進(膀胱収縮し排尿促す) |
汗腺・唾液腺 | 発汗促進(手に汗握る)、唾液減少(粘稠に) | 発汗なし、唾液分泌促進(消化の準備) |
出題傾向と対策
自律神経の作用は、第2章の生理学的知識として頻出のテーマです。よく出るパターンは、「交感神経と副交感神経の作用の組み合わせで正しいものを選ばせる」問題です。本問のように典型的な作用を問うものから、「緊張すると口が渇くのはどちらの神経が働いた結果か?」のように日常現象に絡めて問うケースもあります。対策としては上の表のような臓器別の作用の違いを丸ごと覚えてしまうことです。
- 瞳孔: 交感神経で散瞳(拡大)、副交感神経で縮瞳。
- 心臓: 交感で拍動↑、副交感で拍動↓。
- 消化: 交感で抑制(胃腸が動かない)、副交感で促進。
これらは第3章の薬の作用(例えば「副交感神経を遮断する抗コリン薬は瞳孔を拡大させる」など)にも関連するため、ここでしっかり理解しておくと他の章の理解も深まります。試験前には交感神経と副交感神経の作用の違いを一覧で確認し、確実に区別できるようにしておきましょう。
第7位:薬の吸収と代謝(初回通過効果)

問題
内服した医薬品の吸収と代謝に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 経口服用した薬は主に胃で吸収され、吸収後は全身循環へ直接入る。
- 経口薬が小腸で吸収された後、肝臓で代謝されて一部が失活する現象を初回通過効果という。
- 初回通過効果を避けるため、内服薬はすべて肝臓を通らない経路で投与される。
- 坐薬(坐剤)や舌下錠も経口薬と同様に強い初回通過効果を受ける。
正解
2. 経口薬が小腸で吸収された後、肝臓で代謝されて一部が失活する現象を初回通過効果という。
解説
薬が体内に吸収・分布・代謝・排泄されていく一連の過程はADME(吸収Absorption・分布Distribution・代謝Metabolism・排泄Excretion)と呼ばれます。第2章ではこの中から特に「吸収」と「代謝」の仕組みが狙われやすく、初回通過効果も重要キーワードです。
- 吸収の主な部位: 経口(口から飲む)薬の場合、主な吸収の場は小腸です。胃は強い酸性環境であり、一部の薬は胃で吸収されますが(例えばアルコールやアスピリンの一部など)、ほとんどの医薬品有効成分は小腸の広大な表面積(絨毛がある)を通じて吸収されます。したがって①は誤りです。「薬は胃で吸収される」と思いがちな人もいますが、試験では必ず『小腸で主に吸収』と覚えておく必要があります。
- 初回通過効果: ②の記述が示すように、経口薬が小腸から吸収された後、まず門脈という血管を通じて肝臓に運ばれます。肝臓は解毒や代謝の臓器なので、そこを通過する際に薬の有効成分の一部が代謝分解されて活性を失ってしまうことがあります。これを初回通過効果と呼びます。初回通過効果により、経口投与では一部の薬は実際に全身循環に乗る前に減量されてしまいます。②はこの定義を述べた正しい内容です。
- 初回通過の回避法: 初回通過効果は経口投与特有の現象なので、経口以外の投与法(注射、吸入、経皮吸収、直腸投与の一部など)では避けることができます。③「内服薬は全て肝臓を通らない経路で投与」は意味不明で誤りですが、例えばニトログリセリン舌下錠は初回通過効果を避けて有効成分を素早く吸収させるための工夫です。舌下投与は有効成分が口の粘膜から直接血中に入り、門脈を経由しないので初回通過を受けにくいです。また坐剤も、直腸下部から吸収された成分は下直腸静脈を経て下大静脈に入り肝臓を通らないため、初回効果を一部回避できます(直腸上部からの吸収分は門脈に入ります)。④は「坐薬や舌下錠も強い初回通過を受ける」とありますが、実際は舌下や直腸投与は初回通過効果を軽減できるので誤りです。
出題傾向と対策
「薬の生体内運命」として、吸収部位は小腸、初回通過効果は経口投与と肝臓という組み合わせが頻出です。試験対策ポイント:
- 小腸吸収: 過去問では「成人の小腸は6~7mあり主な吸収の場である」といった知識が問われたり、選択肢にさらっと「薬は主に胃で吸収される」と書いてあって×にする問題が出ています。「小腸で吸収」がキーワードと覚えましょう。
- 初回通過効果: 定義そのものを問う問題(本問のような)がよく出ます。「経口投与→門脈→肝臓で代謝」の流れを理解していれば難しくありません。また、経口以外の投与経路との対比も重要です。例えば、「坐剤や舌下錠は初回通過効果を回避できる」のような知識は正誤問題で狙われます。舌下投与・直腸投与(部分的に)・経皮吸収(貼付剤)・吸入などは初回効果を受けませんので、経口との違いを押さえましょう。
- 関連知識: 肝臓は代謝、腎臓は排泄という役割分担もセットで覚えておきたいところです。薬の相互作用で肝臓の酵素誘導・阻害の話などは第3章以降になりますが、第2章では「肝臓で代謝」「腎臓から排泄」という大枠を理解していれば十分です。
吸収・代謝は難しく感じるかもしれませんが、図などで経路を追いながら覚えるとイメージしやすいです。過去問でも繰り返し問われている基本事項なので、確実に得点できるようにしましょう。
第8位:剤型ごとの違いと使用上の注意

問題
医薬品の剤型(製剤の形状)と使用方法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 腸溶錠は有効成分をすみやかに放出させるため、かみ砕いたり割ったりして服用する。
- 口腔内崩壊錠は水なしで服用でき、口の中ですぐ溶けるように設計されている。
- 貼付剤(経皮吸収型テープ剤)は必要に応じてハサミで小さく切って貼れば、薬効を調節できる。
- 坐剤(座薬)は肛門からではなく口から服用することも可能な剤型である。
正解
2. 口腔内崩壊錠は水なしで服用でき、口の中ですぐ溶けるように設計されている。
解説
医薬品には様々な剤型(錠剤、カプセル、散剤、坐剤、貼付剤など)があり、それぞれ適した使い方や注意点があります。試験では代表的な剤型の特徴や使用上の注意に関する問題がよく出題されます。
- 腸溶錠: ①は誤りです。腸溶錠とは、胃では溶けずに腸に達してから溶ける特別なコーティングが施された錠剤のことです。胃酸で壊れやすい成分を守るたり、胃への刺激を避ける目的があります。かみ砕いたり割ったりするとコーティングが破れ、胃で溶けてしまうため厳禁です。試験でも「腸溶錠は割らずにそのまま飲む」ことが正解肢になったり、逆に誤りの選択肢で「かみ砕いてOK」と書かれることがあります。腸溶性カプセルも同様ですので注意しましょう。
- 口腔内崩壊錠: ②が正解です。OD錠と呼ばれ「Orally Disintegrating tablet」の略称で、日本語では「口腔内崩壊錠」と言います。その名の通り口の中で崩れて溶ける錠剤で、水を使わずに服用できます。唾液ですぐ溶けるので、高齢者や小児、水がすぐ飲めない状況での服用に便利です。試験ではOD錠の特徴として「水なしで飲める」点を問うことがあります。なお、溶けた後は唾液と一緒に飲み込む必要があります。ラムネ菓子のように口の中で溶ける、とイメージするとよいでしょう。
- 貼付剤(テープ剤・パップ剤): ③は誤りです。貼付剤は皮膚に貼って有効成分を経皮吸収させる剤型で、「テープ剤」と「パップ剤」に大別されます。経皮吸収型テープ剤は薄くて密着力があり、成分を持続的に放出するタイプ(患部に貼る鎮痛消炎テープなど)。パップ剤はいわゆる湿布で、水分を含み冷感がある厚手のシートです。いずれの場合も、製剤を勝手に切ったりすると放出量が変化したり、均一に薬が行き渡らなくなる可能性があるため、基本的に切って使うことは推奨されません(製品によっては小さくカットできるとの記載があるものもありますが、試験では一般論として貼付剤はそのまま使用すると考えましょう)。③の「ハサミで切って貼れば薬効調節」は不適切です。貼付剤の使用上の注意としては、「貼り替え間隔を守る」「皮膚がかぶれたら使用を中止する」等も覚えておくとよいでしょう。
- 坐剤(座薬): ④は明らかな誤りです。坐剤は肛門から挿入して使用する固形製剤で、体温で溶けて有効成分が直腸から吸収されます。決して口から服用するものではありません。試験でも基本的な剤型の使い方を問う設問がありますので、「坐薬は肛門から」がすぐ出てくるようにしておきましょう。なお坐剤は小児の解熱剤や痔の薬などで使われます。暑いと溶けるため冷所保存する必要がある、といった知識も出題されることがあります。
出題傾向と対策
剤型に関する問題では、正しい使用方法や特徴を問うものが多いです。対策として主要な剤型について以下のポイントを整理しておきましょう。
- 錠剤・カプセル: かまずに飲むのが基本。特殊なコーティング(腸溶錠、徐放性錠剤など)は絶対に砕かない。口腔内崩壊錠(OD錠)は水無しOK。チュアブル錠(口中で噛み砕くタイプ)は水無しで噛んで服用する。
- 粉薬: 散剤と顆粒剤の違い(散剤の方が粒子が細かい)など細かい点もテキストにありますが、試験で問われることは稀です。むしろ「水なしで飲める剤型はどれか?」で「口腔内崩壊錠やチュアブル剤」と答えさせたりすることが多いでしょう。
- 外用剤: 貼付剤(テープ・パップ)の違い(テープは乾式、パップは湿式)。クリームと軟膏の違い(軟膏は油脂性基剤、クリームは水分含む基剤)。
- 坐剤: 挿入時は先端を少し濡らすと滑りが良い、など使用法も知っておくと良いですが、試験ではそこまでは聞かれないかもしれません。「小児でも使える(飲めない子に用いる)」といったメリットを問う場合もあります。
剤型に関する設問は比較的易しい基本問題が多いので、各剤型の「してはいけないこと」(例:腸溶錠を割る、カプセルを開ける 等)や正しい使用方法を整理しておけば得点源になります。日常の薬の使い方をイメージしながら覚えると記憶に残りやすいでしょう。
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第9位:血液の構成要素と働き

問題
人の血液とその成分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 赤血球は免疫を担う細胞で、細菌やウイルスを攻撃する役割を持つ。
- 白血球は酸素を運搬する役割を持ち、その数は赤血球よりはるかに多い。
- 血小板は血液を固めて出血を止める役割を担う。
- 血漿(けっしょう)には栄養分は含まれず、水だけで構成されている。
正解
3. 血小板は血液を固めて出血を止める役割を担う。
解説
血液は液体成分の「血漿」と有形成分の「血球」に大別されます。血球には赤血球・白血球・血小板の3種類があり、それぞれ役割が異なります。本問の各選択肢はそれらの役割について問う典型的な内容です。
- 赤血球: 赤血球はヘモグロビンを含み、肺で受け取った酸素を全身の組織に運搬するのが主な役割です。また一部の二酸化炭素を運ぶ役目もあります。①は「免疫を担う」とありますが、それは白血球の役割であり、赤血球ではありません。したがって誤りです。なお、人の赤血球には核がなく円盤状の形をしており、数は血球の中で最も多いです(成人では血液1μL中に数百万個)。
- 白血球: 白血球は体内に侵入した細菌・ウイルスなどの異物を排除する免疫担当細胞です。いくつかの種類(好中球・リンパ球・単球など)があり、病原体を食べて処理したり抗体を産生したりして体を守ります。数としては赤血球よりはるかに少なく(血液1μL中に数千個程度)、大きさは赤血球よりやや大きいです。②は「白血球が酸素運搬」「数は赤血球より多い」と逆のことを言っており誤りです。酸素運搬は赤血球の役割、白血球数は赤血球数よりずっと少ないと覚えておきましょう。
- 血小板: 血小板は止血に関与する小さな血球です。出血した際に血管の傷口に集まり、互いに凝集して血栓(かさぶたの元)を形成します。また血液凝固因子の働きを助け、フィブリンという繊維状のタンパク質の網を作って血液を凝固させます。これによって*出血を止めることができます。③はこの血小板の働きを述べており正しい記述です。血小板は赤血球や白血球と違って細胞核を持たない細胞の断片ですが、試験では「血球」の一種として扱われます。
- 血漿: 血液の液体成分で、淡黄色をしています。水分(約90%)のほか、タンパク質(アルブミン、グロブリンなど)やグルコース、脂質、電解質、ホルモン、老廃物など様々な物質を含みます。栄養素や老廃物の運搬媒体でもあり、血清(血漿から凝固因子を除いたもの)は診断などにも使われます。④の「血漿は水だけ」は誤りで、実際には栄養分やタンパク質等多くの成分を含むことを覚えておきましょう。
出題傾向と対策
血液に関する問題は、第2章「人体の構造」の中でも基礎知識として頻出です。血球の働きの違いはよく問われます。
- 3種類の血球: 赤血球=酸素運搬、白血球=免疫、血小板=止血という組み合わせを確実に覚えてください。過去問でも「赤血球に核がない理由」「白血球の種類」「血小板が関与する現象(血液凝固)」などが出題されていますが、まずは基本機能の暗記が先決です。
- 割合・数: 試験対策上重要なのは「血液中で一番多い有形成分は赤血球」という点です。テキストによっては血液の約45%は赤血球(ヘマトクリット値)、1%未満が白血球と血小板、残り55%が血漿といったデータも載っています。選択肢に「血液中で最も多い細胞は白血球である」などと紛らわしい記述が出ることもあるため、一番多いのは赤血球と知っておきましょう(②は数に関する引っかけでした)。
- 白血球の種類: 詳しくは第2章で学ぶと思いますが、好中球(白血球の中で最多、食細胞として細菌を食べる)、リンパ球(免疫全般、抗体産生やウイルス感染細胞の破壊)、単球→マクロファージ(組織で異物を貪食)など。これらの名前や働きも問題集で目にするかもしれません。余裕があれば覚えておき、最低限「好中球が最多で、次いでリンパ球」という順序は知っておくと選択肢判断に役立つ場合があります。
血液は身近なテーマですが試験範囲も広いので、まずは赤血球・白血球・血小板の役割を鉄則として押さえましょう。本問のように端的に問われれば確実に正解できるよう繰り返し確認してください。
第10位:膵臓の役割(ホルモン分泌)

問題
人体の臓器とその働きに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 膵臓(すいぞう)は胆汁を生成して蓄える臓器であり、脂肪の消化を助ける。
- 肝臓はインスリンというホルモンを分泌して血糖値を下げる働きをする。
- 膵臓は血糖値を下げるホルモンと上げるホルモンの双方を分泌している。
- 副腎は消化酵素(消化液)を分泌する外分泌腺である。
正解
3. 膵臓は血糖値を下げるホルモンと上げるホルモンの双方を分泌している。
解説
人体の各臓器には固有の働きがありますが、混同しやすい臓器もあります。本問では膵臓を中心に、他の臓器との役割の違いを問うています。膵臓は消化液の分泌(外分泌)とホルモン分泌(内分泌)の二重の役割を持つユニークな臓器です。
- 膵臓の外分泌(消化)機能: 膵臓は胃の後ろ側にある細長い臓器で、十二指腸に膵管という管を通じて膵液(すいえき)を分泌します。膵液には炭水化物分解酵素(アミラーゼ)、タンパク質分解酵素(トリプシンなど)、脂肪分解酵素(リパーゼ)など多数の*消化酵素が含まれており、十二指腸で食物の消化を助けます。さらに膵液は重炭酸塩を含み、胃から送られてきた強酸性の内容物を中和する役割もあります。胆汁を生成・蓄えるのは膵臓ではなく肝臓(生成)と胆のう(蓄える)の働きなので、①は誤りです(胆汁は脂肪の消化を助けますが、それを作るのは肝臓、貯蔵する袋が胆のうです)。
- 膵臓の内分泌(ホルモン)機能: 膵臓にはランゲルハンス島(膵島)という組織が点在し、そこからホルモンが分泌されています。主なホルモンはインスリンとグルカゴンです。インスリンは膵臓のβ細胞から分泌され、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませたり肝臓に蓄えさせたりすることで血糖値を下げる作用があります。グルカゴンは膵臓のα細胞から分泌され、肝臓に蓄えたグリコーゲンを分解してブドウ糖を放出させることで血糖値を上げる作用があります。すなわち膵臓は血糖値調節の2大ホルモン(下げるインスリン、上げるグルカゴン)を両方出しているのです。③はこの点を述べており正しい記述です。
- 他の臓器との混同: 選択肢2は肝臓について述べていますが、インスリンを分泌するのは膵臓であって肝臓ではありません(肝臓はインスリンの標的臓器の一つで、グリコーゲン合成などにより血糖値を下げる協力はしますが、ホルモン分泌はしない)。従って②は誤りです。④の副腎は腎臓の上に乗っている内分泌器官で、「アドレナリン」「コルチゾール」などのホルモンを分泌します。消化酵素は分泌しませんから誤りです(副腎は内分泌腺、消化液を出す膵臓や唾液腺などは外分泌腺)。
出題傾向と対策
人体各器官の働きについては、第2章の序盤でまとめて出題されることがあります。膵臓は特に「消化液(膵液)を出す外分泌腺」と「インスリンなどホルモンを出す内分泌腺」の両面が試験でも強調されます。
- 膵臓 vs 肝臓 vs 胆のう: 混同しやすいので整理しましょう。肝臓は胆汁を生成し、代謝・解毒・貯蔵など多彩な機能を持つ臓器。胆のうは肝臓で作られた胆汁を蓄えて濃縮し、食事の際に十二指腸へ胆汁を放出する臓器。膵臓は消化酵素たっぷりの膵液を出す+血糖調節ホルモンを出す臓器です。試験でも「胆汁はどこで作られるか?」(→肝臓)「胆のうは何をするか?」(→胆汁の貯蔵)「膵液の働きは?」(→消化酵素)など基本的な内容が問われます。
- ホルモン分泌: 膵臓から出るホルモンはインスリンとグルカゴンが代表です。インスリン=血糖値↓、グルカゴン=血糖値↑は絶対覚えてください。選択肢でも狙われやすい組み合わせです。さらに第2章では他の内分泌腺も扱いますが、副腎(アドレナリン・ステロイド)、甲状腺(甲状腺ホルモン)、脳下垂体(成長ホルモン他)など多数あります。すべて暗記は大変ですが、膵臓のホルモンは重要度が高いです。
- 糖尿病との関連: インスリン不足や作用低下で血糖値が慢性的に高くなるのが糖尿病です。登録販売者試験では糖尿病自体は疾病知識として第5章に出ますし、インスリンそのものは注射薬なので取り扱いませんが、血糖降下薬の使用注意(副作用で低血糖が起こる等)などにつながる知識です。第2章では生理学として押さえておき、第3章・第5章での知識とリンクさせると理解が深まります。
臓器の働きは範囲が広いですが、膵臓の二重機能は非常に頻出です。本問のように他臓器と比較する形でも問われますので、「膵臓=消化酵素+インスリン」というキーワードで覚えておきましょう。
まとめ
以上、登録販売者試験の第2章「人体の働きと医薬品」から過去問頻出の重要項目トップ10を解説しました。第2章は専門用語も多く難しく感じられますが、頻出ポイントに絞って効率よく学習することで得点源にすることができます。最後に、効率的な学習法と復習法のアドバイスをまとめます。
- 過去問を最大限活用: 頻出問題は過去問演習で何度も出会うはずです。ただ暗記するだけでなく、なぜその答えになるのか解説を読み込みましょう。本記事のような解説を参考に、関連知識まで含めて理解すると応用が利きます。間違えた問題は印を付け、試験直前に再チェックする習慣をつけてください。
- 重要キーワードの暗記: 第2章は「キーワード=知識の核」となるものが多いです。例えば「黄疸=肝機能障害」「ショック=急激・致命的」「SJS/TEN=高熱・粘膜症状」など、一語聞けば関連知識が思い出せるように、自分なりのキーワードカードやノートを作ると良いでしょう。太字や色分けで強調し、イメージと結びつけて記憶するのも効果的です。
- 図表で整理: 自律神経の作用表や、副作用の特徴比較表など、図表は理解を助けます。本記事内の表や箇条書きも活用して、自分でノートにまとめてみましょう。視覚的に整理することで記憶の定着が向上します。
- 繰り返し復習: 人は忘れる生き物です。学習した内容は時間をおいて何度も復習しましょう。頻出問題は短期間で何度も見返すことで、本番でも迷わず解答できる自信につながります。朝勉強したら夜に軽く復習、1週間後にまた復習、と間隔をあけつつ繰り返すのがおすすめです。
第2章は登録販売者試験の土台となる分野です。ここで紹介した頻出ポイントを中心にしっかり固めておけば、試験本番での心強い武器になるでしょう。効率的かつ計画的に学習と復習を進め、確実に得点できるよう頑張ってください。頻出問題を攻略して、自信を持って試験に臨みましょう!成功を祈っています。